1993年のJリーグ発足から30年が経過しました。学校体育が中心だった日本のスポーツ界に、プロとアマチュアが共存する生涯スポーツ環境、地域に根差したスポーツクラブのイメージを具体的に示したのはJリーグの大きな成果です。そのモデルは欧米のスポーツ環境にあり、特にドイツから多くのことを学びました。
Jリーグ発足のさらに30年前、1964年の東京オリンピック前後に、日本のサッカー界は大きく動きました。西ドイツからデットマール・クラマーを招聘し、代表チームの強化と指導者養成を本格的に開始し、Jリーグにつながる日本サッカーリーグをスタートさせたのです。日本のスポーツをサッカー界がリードしてきたことを思うと、クラマーの招へいは日本スポーツ界の“現代化”へ向けての第一歩だったと言えるでしょう。
クラマーを日本に紹介したのが、西ドイツに体育・スポーツ史の研究で留学していた、20代半ばの成田十次郎先生です。帰国後は母校東京教育大学の監督として、民主的な部活動を実践しながら大学日本一に導き、そのメンバーを中心に読売サッカークラブの創設に携わります。体育・スポーツ史の研究者としては国内外で数多くの実績を残され、欧米はもちろん東アジアの国際的なネットワークづくりに大きく貢献されました。成田先生の教え子は、Jリーグ創設をはじめ、いまの日本のサッカー界、スポーツ界を形作ってきました。
2022年8月7日に亡くなられた成田十次郎先生の功績を語り合う場を、「スポーツを通しての“ゆたかなくらしづくり”」を“志”に掲げるNPOサロン2002で企画しました。東京教育大学サッカー部で成田監督時代の主将であった柴田宗弘さん、体育・スポーツ史研究の第一人者として成田先生のあとを継ぐ真田久さん、高知県サッカー協会副会長として成田先生を偲ぶ会や追悼展の企画・運営をされた竹下誠一さんにご登壇いただきます。コーディネーターの私は、親の代から公私にわたって成田先生にお世話になった教え子です。
世代や分野を越えて、多くの方々と成田十次郎先生について語り合えることを、心より楽しみにしています
■公開シンポジウム2023 成田十次郎先生を語ろう -D.クラマーを紹介した教育者・研究者・実践者ー
【主催】 特定非営利活動法人サロン2002
【後援】 筑波大学蹴球部、筑波大学蹴球部同窓会茗友サッカークラブ、(一社)高知県サッカー協会
【協力】 日本サッカー史研究会、日本ヤタガラス協会
【日時】 2023年8月27日(日)14:30~17:00(14:00受付開始)
注)17:00~19:00 同会場で懇親会(※会費は別途ご案内します))
【会場】 筑波大学附属高等学校「桐陰会館」 (東京都文京区大塚1-9-1)
有楽町線「護国寺駅」徒歩8分、丸の内線「茗荷谷駅」徒歩10分
注)オンライン参加可(※参加申込された方にZoomのURLをお送りします)
【登壇者】
柴田 宗宏 (一社)日本ウォーキングフットボール連盟副会長/読売サッカークラブ初代監督代行
真田 久 筑波大学特命教授・名誉教授/NPO日本オリンピックアカデミー会長
竹下 誠一 (一社)高知県サッカー協会副会長/元高知放送報道制作局長
中塚 義実(※コーディネーター兼) NPOサロン2002理事長/筑波大学附属高校教諭
【参加費】 1,000円(※サロン2002ファミリーは無料)
【報告書】 https://www.salon2002.net/src/pdf/symposium/2023_sympo-1.pdf
【問い合わせ】 問い合わせ – NPO サロン2002 (salon2002.net)
【参考資料】 2008年3月例会報告「成田十次郎先生にきく-高知・日本・ドイツのサッカーとトリムカップ」
公開シンポジウム チラシ:
公開シンポ2003案内【成田先生を語ろう】.pdf