【公開シンポジウム 2003】 2003年8月2日 【Salon#80】

2002年のワールドカップを振り返ってみると、最初から分かっていたことですが、やはり「早すぎた」と感じます。
まず、これまでのワールドカップは、サッカー、あるいはスポーツが文化として定着している国で行われていたわけですが、わが国ではまだサッカー・スポーツの地位はそこまで高くはない。「体育」は確かに浸透していますが、本来の意味でのスポーツが根付いていない。本来のスポーツ・サッカーがどのようなものであるかを知ってもらう良い機会にはなったと思いまが、いずれにしても早すぎた。
ワールドカップはまた、開催地やキャンプ地など、地域が主人公のイベントです。しかし、長い間の中央集権体制に慣れきっていて地域がなかなか自立できていない。もちろんワールドカップを機に地域づくりを考えて町おこしに成功した事例もありますが、本当は日常的な、地域に根ざしたクラブの活動がベースにあって、その延長でワールドカップを開催するというのが本来あるべき姿であった。そういう意味では早すぎたなと思います。
次に開催国になる機会がいつかは分かりません。各大陸を一巡すると、一番早くて2026年ぐらいでしょうか。川淵キャプテンは2050年を目標に掲げているようですが、次にもし開催国になる時は、スポーツがもっと身近なものでありたいし、地域がもっと自立した存在でありたい。
そのためにはまず、地域に根ざしたクラブの育成が鍵になると考えます。そこで今年のシンポジウムのテーマを「地域で育てる」に致しました。

1.リーグ戦で育てる地域クラブ ~DUOリーグから東京都ユースリーグまで~
                    中塚 義実(筑波大学附属高校)
2.アヤックスとアムステルダムの幸福な関係
                    宇都宮 徹壱(写真家、ノンフィクションライター)
3.Jリーグ・アカデミーのねらいとその活動
                    山下 則之(Jリーグ・アカデミー)

 ■名 称 2002年を越えて ~地域で育てるこれからのスポーツ環境~
 ■日 時 2003年8月2日(土) 13:30~17:30
 ■会 場 東京体育館第1研修室
 ■演者
   中塚 義実 (筑波大学附属高校)
   宇都宮 徹壱(写真家、ノンフィクションライター)
   山下 則之 (Jリーグ・アカデミー)
  司会進行
   鈴木 崇正 (サロン2002)

【報告書】https://www.salon2002.net/src/pdf/symposium/2003_sympo.pdf